ユリノキ モクレン科
5丁目の北側には、あまり目立たないのですが、珍しい樹木があります。7月上旬になると、木々の合間からクリーム色の大きな花がたくさん咲いているのが見えますが、知らなければ全く見過ごしてしまいます。葉が大きくて下からよく見えないことや、葉の緑色のなかでは、クリーム色が本当に目立たないからです。
これはユリノキといい、アメリカ原産のモクレンの仲間になる樹木です。確かにそういわれるとハクモクレンやコブシの花に似ていなくもないですが、大変珍しい花の色をしています。学名を Liriodendron tulipifera ユリのような木、チューリップのような花となっているので、和名もユリノキ、英名はTulip Tree となっています。別名ハンテンボクは、葉の形が半纏によく似ていることからつけられた名前です。
ユリノキの仲間は、北アメリカのユリノキと、中国のシナユリノキの二種だけが、遠く隔離分布しているのです。わが国にも新生代第三紀の終わり頃(2000万年前)には自生していたことが化石から分かっていますが、現在はもちろん分布していません。
札幌市内には、北大農学部裏や旧低温研究所(現在ファカルティハウスエンレイソウ前)、植物園などに大木がありますが、大通公園のこのユリノキがいつ植えられたものかよく分かっていません。この木が大変珍しいことから、その後も苗木をあちこちに植え継がれ、現在では5丁目や7丁目に数本が花を咲かせるようになりました。初夏のまぶしい日差しを受けて花が開く珍しい姿を、一度よく見ていただきたいと思います。