ケヤキ ニレ科
ケヤキはニレ科の落葉広葉樹で、日本、朝鮮半島から中国、台湾にも自生があるといわれます。わが国では本州・四国・九州に自生していますが、北海道には自然分布はありません。関東地方や東北では特によく育ち、関東平野では家並みの上に突き抜けるような大木があちこちに点在しているのをよく見かけます。街路樹としてもよく使われ、東京では表参道や国立駅前、杜の都仙台では青葉通や常禅寺通のケヤキ並木がよく知られています。
札幌市内にもあちこちに大木がありますが、まとまって見られるところとしては、植物園北にある元の偕楽園の跡地で、現在は個人宅になっている一角にたくさんのケヤキの大木があるほか、大通6丁目の広場のケヤキがよく知られているでしょう。
野外ステージの左手に「開拓紀念碑」がありますが、これはもともと偕楽園の中にありました。偕楽園が当初の公園からだんだん俗化していく中で、この紀念碑も1899年(明治32年)に大通に引っ越すことになり、それに合わせて小公園化する工事が行われ、その時にこのケヤキが植えられたとされています。したがって、ここに植えられてから既に120年以上も経っている古木なのです。
この場所はもともと現在の地盤よりも低く、再整備前には両側にサンクンガーデン(沈床園)がありましたが、その地面の高さが元の地盤の高さだったようです。再整備時に、ケヤキの回りの土を一旦取り除き、酸素がよく回るような処置がされましたが、近年それが目詰まりしたものか、少し弱ってきたように感じます。歴史を経た由緒ある樹木がいつまでも元気に木陰を作ってくれるよう、しっかりと管理していきたいものです。
(参考:「札幌百年のあゆみ」札幌市、1970)